入駒慎吾:「無痛分娩を安全に広めたい」無痛分娩コンサルタントの志事 [志事] | 誰かの役に立つ「志事」の素晴らしさ

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誰かの役に立つ「志事」の素晴らしさ

2022.04.05

入駒慎吾:「無痛分娩を安全に広めたい」無痛分娩コンサルタントの志事 [志事]

産婦人科医10年、麻酔科医10年を経験したスペシャリストが目指すお産の未来



■コロナ禍で無痛分娩数が急増


私は現在、無痛分娩コンサルタントとして全国20ヶ所の医療施設に出向き、オンラインでも指導を行っています。

産婦人科医10年、麻酔科医10年の経験をもとに医師や助産師に向けて技術とマインドの両面からコンサルティングを実施。現場の悩みや不安を解消し、モチベーションを高める方法などをお伝えしています。

無痛分娩ではお産が近づいてきたタイミングで背骨と背骨の間から針を通し、カテーテルと呼ばれる細いチューブを挿入し投薬をします。言葉では無痛と表現されますが、陣痛の痛みを和らげる目的で行うため、無痛が担保されるわけではありません。

ほとんどのケースでは当てはまらないものの、痛みを強く感じてしまう可能性もあります。しかしどんなケースに至っても母子の安全を第一としたケアを行っています。

 

■日本における無痛分娩の歴史は長いのだが……

日本での無痛分娩の歴史は意外と長く、戦前には日本に入っていました。

しかし終戦以降、自宅ではなく医療施設で産む人が増え、さらにはベビーブームの到来で分娩数が急増。医療施設の負担から無痛分娩を行う余裕がなくなってしまいました。

その後もなかなか普及しなかった無痛分娩ですが、2016年の出産件数中6.1%は無痛分娩だと言われ(※1)現在も少しずつ広まりを見せています。

※1:無痛分娩の実態把握及び安全管理体制の構築について-厚生労働省

 

■無痛分娩コンサルの根本には「医療従事者が幸せに働いて欲しい」という願いがある

僕の産婦人科医10年、麻酔科医10年というキャリアは特殊です。両方の分野でスペシャリストとして活動してきた医師はとても珍しいため、自分の強みを活かす活動として無痛分娩コンサルを始めました。

医療現場では、過酷な状況下で愚痴を言いながら働いている人もいます。素晴らしい仕事なのに愚痴を吐かずにはいられない。これを何とかしたいと思いました。

少なくとも自分が一番得意とする分野では、誇りと自信を持って医療を提供できる人を増やしたい。医療従事者の気持ちが変われば、患者さんへの対応も変わると考えています。コンサルでは医師や助産師への教育を行っていますが、医療従事者の対応の変化で利用者の満足度が上がっています。

評判が良くなれば安定的な病院経営が見込めるし、医師や助産師の達成感やモチベーションが上がり、患者さんにも喜ばれる。とても良いサイクルが生まれています。

 

■無痛分娩は安全であってこそ



出産には人それぞれの考え方があるので、自然分娩を否定するわけではありません。しかし、生物の進化という面から考えるとやはり人間の脳は大きくなりすぎました。生まれたばかりの赤ちゃんは自分では何もできませんが、それでも頭は大きく育ち、出産時の激痛を引き起こします。

「これだけ大きく頭が発達したのだから、せめて発達した脳で生み出した医学によって痛みを和らげる措置を行っても良いのではないか?僕はそう思うのです」

あくまでも無痛分娩という選択肢が増えるだけで、その方法を選びたくない人に強制的にさせるわけではありません。出産する人が自由に選べる選択肢が増えるのは良いことだと考えています。

実際に無痛分娩を経験された方からは「友達に勧めたい」「次もまたここで産みたい」という声をいただいています。出産後の満足度は非常に高く、自信を持って勧められる状態になりました。ただ、僕はやみくもに無痛分娩を広めたいわけではありません。

残念なことに2017年には日本全国で無痛分娩の事故報告が相次ぎました。このような不幸な事故が今後起こらないよう、誰もが安心して無痛分娩に向かえる正しい知識を伝えています。



■AIに仕事は代替されるのか?AI時代に向けた無痛分娩コンサルの展望


デジタル化と AI は別のものだと考えています。それを前提とした上で現状をお伝えすると、僕のノウハウはすでにデジタル化されています。

ノウハウのデータベースだけでなく、質問に答えてくれるソフトウェアの開発までこぎ着けましたが、クラウドでの運用を検討していたため、ハッキングの問題で規制が厳しくなってしまいました。実際にソフトウェアがマーケットに出るまでにはもう少し時間が必要でしょう。

このソフトウェアが完成し実装に問題がなければ、僕のノウハウが世界に発信され、医師ではなくソフトウェアが問題解決をする可能性は十分にあります。ただし、コンサルの重要な部分である医師や助産師の気持ちのケアがAIやデジタル技術に代替されることはないと考えています。

 
 

■これから親になる人たちに向けてのメッセージ

日本では無痛分娩への誤解があります。

「無痛分娩で出産すると子供への愛着が減る」

仮にそのような主張をする人がいるのなら、それは気にしないでください。無痛分娩と子どもへの愛着に因果関係があるとは科学的に証明されていないからです。

最近はSNSの普及で無痛分娩に対する主張を目にする機会が増え、考え方も変わってきました。無痛分娩をひとつの選択肢として、自分にあった出産のスタイルを選んで欲しいと思います。

そして妊娠出産を機に産婦人科にかかると思いますが、産婦人科は分娩施設であると共に女性の体を診てくれる医療機関です。妊娠出産だけにとどまらない、かかりつけ医を選ぶ視点を持つと良いでしょう。


 

入駒慎吾
無痛分娩コンサルタント
LA Solutions 代表





 

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